10時に出掛けた。いつもより遅い外出だ。最近はGoogleがあるから目的地までの距離や時間を効率的に計算し、案内してくれる。便利だが、使わない選択肢というのも我々には用意されているのだ。東西南北の通りが丁寧に揃えられた台北の街では、太陽の位置さえ理解すれば、地図を見なくとも歩けると思いついた。
永遠に太陽は東からやってくると言われている。午前中太陽のある方向が大雑把に東。太陽の昇る位置、沈む位置によって細かい調整は必要だが、西の位置も分かるようになった。
牛肉麺の有名なお店があると聞いて、台北繁華街のはじまる北門に歩いて向かった。あたりはバイクや車部品の工業地帯で、お店のある通りを外れるとオイルやゴムの匂いが染み付いていた。原付バイクが所狭しと駐車されている。通路にある外のテーブル席について、牛肉麺の中椀を注文した。日差しは強く、薬味の青菜付けの容器がスポットライトのように照らされていた。やってきた牛肉麺。スープにやられてしまった。全部飲み干せるほどのコクと辛味、食べるうちに大量の汗が噴き出してきた。食べ終えてひと息。しばらく汗が引くのを待った。
南へと降りて、西門などの繁華街にやってきた。映画館では、君たちはどう生きるかのポスターが大きく貼られていた。「蒼鷺興少年」の表記は、青鷺と少年という簡素なまとまりだ。北門と西門間にはカメラ屋や電化製品の通りが2,3列並んでいた。台北駅あたりにはアウトドア製品を取り揃えたお店をよく目にした。さらに細かい地図ができてきた。
夕焼け空が美しい夕暮れ時だった。薄紅色に霞んだ空が一面に広がり、まだうす明るい空の中に月が浮かんでいるのを、いつぶりだろうと気が付いた。人々が帰る18時。私は今日はじめて迷った。頼りの太陽が沈んでしまったから、暗闇では街の景色しか頼りにならないのだ。メトロに寄り、構内地図を見て帰り道の通りを把握した。いつもよりも遅い帰宅になった。
231023 Taipei Taiwan

コメントを残す