7時に目が覚めると、アルムに朝食をお願いして、4種のフルーツプレートを食べる。キッチンにあるマキネッタを借りて、コーヒーを淹れた。豆はコンドミニアムに直結するショッピングモールで買ったもので、インドネシアの豆は美味いなとマグカップを啜った。
今日は何もしないのだ。台北の街ではいくら歩いても、寝ればまた散歩を楽しむことができたのだが、ジャカルタではそうはいかないようだった。蒸し暑さからか、身体に疲れが蓄積しているのを感じる。当たり前だが、台北とジャカルタは違う。街によって、活動の仕方を変えなければいけないと私は学んでいた。
悩まされている虫刺されが酷い。蚊なのかどの虫なのか判別つかないが、痒くて仕方がないのだ。実は台北から虫刺されには悩まされ、いつになったらこの地獄から抜け出せるのだと未だ苦しんでいる。是非とも私の身体には、なるべく早く抗体を作っていただきたい。痒み止めの緑の液体を塗って対応していた。
夕方になって比較的涼しくなる頃に、私は動き始めた。軽い散歩をするだけだと言い聞かせ、直結するショッピングモールを経由して、周辺にある通りを練り歩いた。ちょうど仕事を終えたサラリーマンが街に出てきた頃で、シャツを着た人が屋台で食事を取っている。
夜食に帰って、トーマスさんとブイと一緒にアルムの作った夕食を食べた。何もしなかった1日の報告も楽しげに2人は聞いてくれている。
アルムはすごい。我々の食事が終わると、お皿の音で分かるのかささっと片づけにやってくる。気の利き方が一流のホテルスタッフのようなのだ。シャワーやバスルームを掃除すると、髪の毛一本残すことなく、畳まれた洗濯物はショップに並べられた新品のようにシワひとつなかった。このインドネシアの地でどのように育てば、アルムになるのだろうと不思議に思いながら、これまで彼女の行動を追っていた。純粋に彼女に感心させられていた。
ダブルベッドの上で、簡単なストレッチを済ませて、早めに横になる。初日から変わらず、カーテンを閉めることなく、ビル群の無数の光、街のざわめきに包まれていた。ただ、その騒がしさの中で、もう心地よく眠りに入る私がいる。クラクションの音は鳴り止むことなく、加速する車の唸りがビルの壁に跳ね返って、星の見えない夜の空へ高く高く響いていった。
231108 Jakarta Indonesia

コメントを残す